カルチャー部門にオフィスの席ができる

組織図を見ると、カルチャーはすっかり社内に馴染んだように見える。Music Business Worldwideは10月1日、Warner Music Central EuropeがNici Ochmannをカルチャー&クリエイター・マーケティング責任者に任命したと報じた。OchmannはAdidasで10年間勤務した後に加わり、直近ではグローバル・カルチャー・マーケティングを担当していた。

スポーツウェアからレコード会社へという移行は、帰属意識という点で理にかなっている。靴は、履いている人が口を開く前から、どんなシーンに属するかを示すことがある。おすすめの曲が友人グループに広まり、ドラムについての議論まで巻き起こすこともある。どちらも、作り手が完全には制御できない意味を帯びうる。

Ochmannの新しい肩書きで興味深いのは、アンパサンドだ。カルチャーとクリエイター・マーケティングが同じ机を囲む。肩書きだけでは、今後のキャンペーンを評価する根拠にはならない。ただ、ブリーフの中身を考えるには格好の手がかりになる。たとえば、協力者に好きなアルバムの曲を外し、シングルに絞るよう求める場面だ。

借りようとした声

ドラムの音へのこだわりが魅力の、小さな音楽チャンネルを想像してみよう。ホストはスネアがよろめくように聞こえる瞬間を1分かけて語り、その後、申し分のないサビにはすぐ飽きてしまう。照明は空いているランプで済ませる。見るのは、その視点が具体的だからだ。

今度は、そのチャンネルに新作の紹介を依頼しながら、他のすべてのパートナーと同じトークポイントに従うようホストに求める場面を想像してみよう。見慣れた雰囲気はそのままだ。しかし、その人ならではの聴き方は編集で消されてしまった。

レーベルがクリエイターに依頼する場面では、どこであっても注視すべきリスクだ。魅力の源は、ぎこちないところも含めた、すでにある感性かもしれない。反応を均一にそろえるための承認プロセスは、その個性を削りかねない。

有意義なブリーフなら、ホストに説明する価値のあるポイントを見つけてもらい、選ばれた細部がフックとはほとんど関係のないところにあっても受け入れられる。キャンペーンで推したいサビが後半に登場する場合でも、ひと癖あるスネアに触れる時間を十分に確保しておこう。

ブリーフには断る選択肢も盛り込む

クリエイターとのパートナーシップで最も多くを物語る場面は、撮影が始まる前に訪れることもある。まずはコラボレーターが作品を聴き、相性を考えられる機会が必要だ。合わない案件を断るのは、当たり前のこととして扱われるべきだろう。音楽を聴く前から好意を求める有償ブリーフには、明らかな問題がある。

キャンペーンを検討するアーティストやクリエイターは、次の4点について率直な説明を求めたい。

  • 相性: 宣伝企画に同意する前に、関連する楽曲を聴かせてもらおう。別の曲を提案したり、辞退したりできる余地も残しておく。
  • 作業内容: 報酬、納品物、想定される修正回数を明確にする。気軽な「短い動画を一本」という依頼でも、午後の時間が丸ごとつぶれることがある。
  • 承認: 事実関係の訂正と、個人的な意見をより好意的に見せるよう求める圧力は、はっきり分ける。
  • クレジット: 予定されている再投稿を含め、アーティスト名と曲名をどう表記するか合意しておく。

原稿の確認には、名前のつづり間違いやリリース日の誤りを見つけるなど、役立つ役割がある。気まずい話し合いになるのは、コラボレーター自身の言葉を、承認済みの熱烈な表現に置き換えようとする場面だ。口に出すことのない形容詞を使って6回も撮り直す羽目になる前に、個人的な意見への修正にどこまで応じるか線引きしておこう。

報酬を得ていても、熱意は本物になりうる

音楽関連の有償の仕事には、ある程度おおらかな見方が必要だ。依頼を引き受けたクリエイターが、そのレコードを心から気に入っていることもある。スポンサー付きの料理動画をきっかけに曲を知った人も、まったく問題のない入り口からたどり着いたのだ。華やかで勢いのある宣伝そのものを楽しむことだってできる。

スポーツウェアの事例と比べると、参考になる点がある。靴なら、動画の最初から最後まで画面に映り続けることができる。曲はアーティスト名が一度も出なくても、映像の感情的な雰囲気をつくれる。音楽キャンペーンでは、曲を認識してからアーティストを特定するまでの道筋をわかりやすくしたい。

実務上、求められるのはわかりやすさだ。広告であることをすぐに見分けられるようにし、曲を簡単に探せるようにする。キャプションには曲名を正確に記し、フルバージョンを聴ける場所へ案内する。マーケティング計画に成果を保証する義務は誰にもない。

レシピ動画にサビがよく合うこともある。刻んだ玉ねぎや細かなカット割りのない場所で、曲の残りの部分にも耳を傾ける機会をつくろう。

音楽に、もっと長い時間を与える

締め切りを軸にしたキャンペーンでは、全員が同じ時期に似たようなものをつくりがちだ。リリース告知には向いているかもしれない。一方で、4回目に聴いてベースのフレーズに気づき、誰かに伝えたくなるような、ゆっくりとした楽しみ方の余地は少なくなる。

カルチャー部門とクリエイター担当チームにできることの一つは、公開直後の盛り上がりが落ち着いてから、追加の制作を依頼することだ。コラボレーターが作品にじっくり向き合い、印象に残った細部を自分で選べる時間と余地を設ける。後から公開するコンテンツは、アレンジ上の工夫を取り上げてもいい。心境の大きな変化を無理につくり出す必要はない。

効果測定にも、同じような配慮が必要だ。再生回数、フルトラックへのクリック、再び聴くことは、それぞれ異なる行動を示している。実際に得られるデータで何がわかるのかを確認しよう。再生回数だけでは、誰かが継続的に聴くようになったとは判断できない。クリエイターに、把握できない成果まで約束させるべきではない。

これは企画段階で話し合っておきたいことだ。納品日とあわせて、試聴のための期間もスケジュールに組み込もう。そうすればクリエイターは、月曜日に生涯続く愛着をでっち上げるのではなく、火曜日にもう一度ブリッジを聴き直せる。

異色の曲にも道を開く

オッホマンの決断は、「カルチャー」というあまりに大きな言葉のもとに集められた仕事に、どんな期待を寄せるべきか考えるよい機会だ。協力者には明確な条件と選択の余地が必要であり、アーティストには、すべての曲を同じ感情に訴える売り文句に押し込めることなく、音楽を見つけてもらえるキャンペーンが必要だ。

率直に「ノー」と伝えることには、実務的な価値がある。相性の悪い企画が撮影段階に進むのを防げるうえ、クリエイターが次の作品――本当に時間をかけたい作品――に取り組める状態を保てる。意見の食い違いが、ちょっとした社内の緊急事態に発展しなくても済む関係を築く余地も生まれる。

クリエイターならではの聴き方が伝わり、レコードが見つけやすくなるような仕事を探したい。アルバム収録曲を紹介する、手作り感のある短い動画も、一つの成果になり得る。内容は風変わりなハイハットのパターンについて語るだけでもいい。企画書には、クリエイターがその箇所を聴き直して机を叩きながらリズムを刻み、耳に残ったまさにそのビートへ戻れるだけの余白を残しておこう。