リフの下にあるボタン
演奏動画のクリップがよくできていれば、聴き手の心をつかむものがあります。リフや歌声、ドラムが入る瞬間などです。準備には、あまり華やかではない部分もあります。動画の下にあるボタンです。広告費をかけて人々にそのクリップを届けるなら、リンク先もきちんと確認しておきましょう。
10月9日、Music Business Worldwideは、Metaが米国とその他6か国で、TikTokの親会社ByteDanceによる自社アプリへの広告掲載を禁止したと報じました。報道によると、この制限は、対象市場のユーザーをTikTokやByteDance傘下のほかのサービスに誘導するキャンペーンを行う第三者広告主にも適用されます。
第三者広告主に関するこの点は、インディーズのアーティストにとって重要です。広告を出したのが誰であっても、聴き手をどこへ誘導するかによって、ミュージシャン自身の広告がプラットフォームの制限に抵触することがあります。次のリリースキャンペーンで、Metaの広告からTikTokへ誘導するなら、配信を予定する前にその経路を確認対象としておきましょう。
対象市場の範囲を確認する
報じられた制限の範囲は、広告出稿、ByteDance傘下のサービスへの誘導、対象国の指定という3つの要素から成ります。見出しを読む際は、この3点をセットで捉えましょう。通常の投稿については、別途ポリシーを確認する必要があります。広告制限だけでは、リンク共有のほかの方法がすべてどうなったかまでは判断できません。
国際キャンペーンを行う場合は、Metaの最新の対象市場リストと誘導先に関するルールを確認してください。ここで重要なのは、広告が表示される地域です。バンドの拠点がある国だけを確認しても不十分です。追加の広告費を投じる前に、適用されるガイダンスを確認しましょう。
ここから、複数のプラットフォームをまたぐプロモーションに潜む依存関係が見えてきます。聴き手は、運営企業のことを意識せずにアプリ間を移動するかもしれません。しかし、その移動に費用をかけるミュージシャンは、こうした制限を考慮しなければなりません。
有料キャンペーンと、それぞれの最終遷移先を簡潔に一覧にしましょう。マネージャー、プロモーター、外部のマーケティングチームが設定したものもすべて含めます。各項目に、対象市場と、その遷移先が許可されていることを確認する担当者を記録してください。
クリックの目的を一つに絞る
遷移先を変更する前に、その広告が何を目的としているのかを決めましょう。リリース動画なら、フル尺の楽曲を聴いてもらうことが目的かもしれません。ライブの広告なら、チケットの販売を目指すでしょう。ティーザーなら、TikTokアカウントのフォローを促すのかもしれません。これらはそれぞれ別のアクションであり、リンクを差し替えるとキャンペーンの目的が変わることがあります。
TikTokのフォロワーを増やすことが唯一の目的だったなら、同じクリエイティブを関係のないホームページに誘導しても、当初の計画を維持したことにはなりません。コピーと成功の測定方法を変えるか、見直しの間はその掲載を一時停止する必要があるかもしれません。
フル尺の楽曲を聴いてもらう場合は、訪問者が実際に楽曲へアクセスできる、許可された遷移先を選びましょう。チケット販売のキャンペーンでは、該当する公演がすぐに分かるようにします。クリックした人に、今夜のサポート出演なのか、先月のヘッドライナー公演なのかを判断させてはいけません。
アートワークやターゲティングに手を加える前に、各キャンペーンのリンクの横に、意図するアクションを書き留めておきましょう。そうすれば、遷移先を差し替える担当者全員が、何を維持すべきか具体的に把握できます。
遷移先を役立つものにする
広告の約束を実際に果たせるなら、アーティスト自身が管理するページは現実的な選択肢になり得ます。再生できるプレーヤー、分かりやすいリリース情報、該当するチケット販売先へのアクセスなどが考えられます。そのページと、そこから先の遷移経路全体が、プラットフォームの最新ルールに沿っていることを確認してください。
中立的に見えるページを、制限対象の遷移先を隠す手段として扱ってはいけません。リダイレクトを追加しても、キャンペーンが許可されることにはなりません。最終的にByteDanceのサービスへ誘導するのが目的なら、クリックを一つ増やせば問題が解決すると考えず、確認を取りましょう。
スマートフォンでも使いやすいページにしましょう。広告している曲や番組をページ上部に配置し、訪問者が目的のページにたどり着いたと確認できるだけの情報を添えます。音声を再生できる場合は、再生ボタンを見つけやすくしてください。古いプレスリリースや5年分の写真アーカイブは、訪問者の目に触れないようにしましょう。
ボタンの文言は、その先で実際に起きることと一致させましょう。再生を約束するボタンを押したのに、メーリングリストへの登録が必須だと不意を突かれたように感じます。
クリック後の流れを確認する
最後の確認は、音の出ないギターの信号経路をたどるように進めましょう。手当たり次第に部品を交換するのではなく、入力から順に経路を追います。
スマートフォンで広告のプレビューを開き、最後まで操作してみましょう。可能であれば、遷移先のサービスからログアウトした状態のブラウザーでも確認します。作成者の環境で問題なく動く経路でも、その人のアプリやアカウントを持たない人には異なる動作をすることがあります。
リリースのバージョン違い、無効になったイベントページ、予期しないログイン要求、ファーストビューより下に埋もれたボタンがないか確認しましょう。広告ツールで利用できる場合は、対象市場に応じたチェックも行います。自分のスマートフォンでプレビューしただけでは、あらゆる地域で遷移先が適格だとは確認できません。
リンクを変更したら、クリエイティブも再確認しましょう。キャプション、音声での案内、ボタンが、いずれも同じ操作を説明している必要があります。TikTokで続きを見るよう案内する動画なのに、差し替えたリンク先がツアーページでは、訪問者を混乱させます。
最後に、キャンペーンにアクセスできる担当者へ、元のリンク先、差し替え先、変更理由、未確認事項を簡潔に引き継ぎましょう。見慣れているというだけで、次の担当者が古いリンクに戻してしまうのを防げます。
適切な成果を数える
現行のルールに照らしてリンク先を確認し、正常に機能することを確かめたら、設定した目的に沿って成果を評価します。広告のクリックは、リンクへの接触として数えます。楽曲を最後まで聴くことやチケットの購入完了は別の成果として扱い、実際に把握できる結果を明確にしましょう。
利用中のツールで確認できる場合は、広告経由のトラフィックと関連するリンク先での動きを比べましょう。外部リンクのクリックしか把握できない場合は、そのように明記します。リンク先を変更すると変更前後の比較が難しくなることもあるため、変更日を記録し、結果とあわせて変更内容を説明しましょう。
監査に音楽の好みを持ち込む必要はありません。ミュージシャンがTikTok用の動画を作るのを楽しむ理由はいくらでもあります。リンク先の制限は、キャンペーンチームが解決すべき導線上の問題であり、その曲をアプリに載せるべきかどうかを改めて議論する必要はありません。
今週末にやるべき作業は、リハーサルの合間に済ませられるほど簡単です。有料広告で使っているリンクを一枚のシートにまとめ、現行の市場ルールを確認しながら、すべてのリンク先をスマートフォンで開いてみましょう。次の動画が公開される前に、修正したリンク先をチームの誰もが確認できる場所に残しておきます。
執筆 ニコ・デルレイ
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